Blanc ou Noir

 

 

 


あるとき彼女は遠征先のホテルまで押しかけてきた。
さすがにこれには俺も閉口した。
コイツ、ただの追っかけじゃねぇか。

そのとき俺はバンドマン友達から聞いた話を思い出した。
ただ繋がりたいがためにバンドマンに近づき、
ストーカーのごとくまとわりついてくる有名な女がいる。
しかもその女と実際に繋がったバンドマンが何人もいるらしいと。
「秋也はファン喰いとかしなさそうだけど、その女、ホントすごいらしいから気をつけろよ」
そう言われたのだった。
まさかコイツ…?!

麗奈はにっこり笑って「どうしても秋也クンに会いたくなって、来ちゃった」などと言う。
「あのさぁ、そーゆーの、困るんだけど。
 だいたい付き合ってるわけでもなんでもないのに遠征先まで来るなんてどうかしてるぜ?」
俺がそう言うと麗奈は悲しそうな顔をして、すばやく俺の部屋に入ってきた。
そしていきなりボタンをはずし、服を脱ぎはじめた。

「おい!アンタ何考えてんだよ!」
麗奈は瞳を潤ませて「ここまでしても何もする気にならないっていうの?」と言う。
「アンタ、そうやっていろんなバンドマンと繋がってきたのか」
「なぁんだ、アタシのコト、バレてたんだぁ。
  そうだよ、アタシ、いろんなバンドマンと繋がってる。もちろん光とも。
 Noir紹介してもらったのは、ユキ君とも繋がりたいからなんだけどね〜☆
  って、そんなの別にさぁ〜、いいじゃんっ!遊ぼ?」
「悪いな、俺は好きでもない奴とヤる気はない…。
 ていうか、アンタ、何でそんなことしてんだ?
 バンドマンと繋がったからって何になる?虚しくないのか?」
「あなたには関係ないでしょ!キャバ嬢にはもう、ホントの恋愛なんて出来ないのよ!」
そう麗奈が言ったとき

『コンコン』
ドアをノックする音が聞こえた。
「秋也、オレだけど…」隣の部屋のコウちゃんだ!

その声を聞くなり、麗奈は服をひっつかみ
『バタンッ!』と大きな音を立て、逃げるように飛び出していった。

「おい、どーゆーことだよ。なんであの子がお前の部屋に、ってかあのカッコ…?!」
コウちゃんが混乱して言った。
「あの子が突然脱ぎだして迫ってきたんだ…」
「そっか、びっくりしたよ。じゃ、何もないんだね?」
「ねーよ。俺がそんな奴じゃないっての、コウちゃんよく知ってんだろ」
「そうだね、ゴメンゴメン」

「つーか、アイツどっちに走っていった?」
「え?あっちだけど…」
「ユキ、ユキは部屋にいたか?」
「え、多分いたと思うけど、なんで?」
「あの女、ユキとも繋がりたいって言ってやがった!」

俺はユキの部屋へと駆けだしていた。
「ユキ!ユキ!いるのか?」
ドアには鍵がかかっている。
「ユキ!ユキ!俺だ、秋也だ!開けてくれ!」

 

 

 

 

 

 

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