Blanc ou Noir

 

 

 


そうして幾月か過ぎた。
俺とユキの関係は相変わらず続いていた。
このことを知っていたのはリズム隊の矢口兄弟だけだった。
二人はよき理解者だった。
あまり人と打ち解けないユキも、潤と同級生ということもあり、二人には心を開いていた。
そして俺とコウちゃんは幼なじみだ。だから彼らにはいろんなことを相談できた。

ユキは女が嫌いなわけではない。
だからファンの女の子たちに囲まれてもニコニコ笑っていられる。
ただ…とある女にひどく裏切られたことがあったため、
今はまだ女性を深く愛することは難しいと。
そしてそのとき俺が優しくしてくれた。
そうユキは言った。

なるほどな。でもこれといって思い当たる節もないんだよなぁ…。
コウちゃんは「基本的に秋也は優しいからね」と笑うけど、そうなのかなぁ?
俺は元ヤンだし目つきも悪いから、近寄りがたいんじゃないかと思ってたんだけど。

とにかく俺達は幸せだった。
俺がファンと親密そうに話していてもイライラしないくらいユキも安定していたし、
バンドも順調で毎日充実していた。

あるとき、ライブの打ち上げに前のドラムの光が来た。
今はホストが本業らしい。
光はコウちゃんの高校の同級生だ。
その縁でNoirに入ったのだが、ファン喰いが激しすぎて
バンドに支障をきたしたために、話し合ってバンドを辞めてもらった。
というかクビだ。
それでも奴はたびたびやってくる。まったく懲りない奴だ。
コウちゃんと同級生じゃなかったら近づきたくもない。

そして光は仕事先で知り合った麗奈という女を紹介してきた。
麗奈は舐めるように俺を見て
「あたし、秋也クンみたいな人タイプなんだぁvv」
と言ってすばやく俺の右隣に座り、腕を絡めてきた。

瞬時に俺の左にいるユキの目が光った。
半ば睨むような目つきで麗奈を見ている。
あわてて潤がユキに耳打ちする。
「ユキ、ダメだよ、ここはガマンして!」
ユキは我に返り、なんとか平静をよそおった。

助かった…。
そしてそれから麗奈はしょっちゅう顔を出すようになった。

 

 

 

 

 

 

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